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2004.07.17

感想>浅暮三文『ラストホープ』

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題名:ラストホープ
著者:浅暮三文
出版:創元推理文庫 2004年6月30日初版
価格:本体720円+税
極私的評価:★★★1/2
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 少々前にネット上で大流行し今でも沈静化していない『電車男』が『セカチュー』を超える純愛指数との噂にワシも2ちゃんねるに走りましたが、確かに読み手が赤面してしまうほどの純情秋葉男がそこにはいた(^_^;)。そんな話の直後に読んだのがこれ。東堂と刈部の悪漢コンビの上を行く三婆のエグいこと。見事に現代社会の腹黒さ加減にシンクロして、ふわふわ純愛路線から現実に引きもどしてくれましたなあ。人生かくあるべし。『最後の希望』シリーズ化をを見越して作家もいろいろ登場人物をセッティングする都合上、ストーリー進行がもたつく場面も少々難ありなんだが、主役より脇役にキャラが立った部分に星1/2おまけだな(^_^;)。作家の頭の中で登場人物の交通整理が済んだので第2作以降よりこなれたピカレスク小説が登場してくれるでしょう、多分。

 浅暮三文って作家は個人的にはお初です。機会があれば『カニスの血を嗣ぐ』以降の作品群もチェックしなくっちゃと思ってはいるのですが、とりあえずはこのシリーズを追いかけてみようか、と。半分趣味を生かしたフライorルアーフィッシングのシーンは臨場感はそのままフィールドを感じるナチュラルな筆致でさすが釣り師で作家なのよね~と思わせる。ただ、源流部に近いとはいえ多摩川でそうそう30㎝オーバーの山女魚が釣れるって話は夢のまた夢なのよね。関西圏作家が舞台設定を関東に据えたのは何か意味があるのか、その辺がよく分かりませんが、ちょいと頭の中に「?」が浮かびましたので指摘させて頂きました(^_^;)。

 三つ巴で混乱する1億円の行方も、まあ、ありがちな話作り。連続宝石強盗組の本件への絡みがイマイチ消化不良気味で…等々多少引っかかりはあれど、オチが見事に決まって微苦笑するエピローグではある、ね。釣具屋が主人公と来れば、魚絡みのネタを次回作でも引っ張るであろうから、フライで魚と来れば、どうしても鱒系になっちゃうし、またしても鱒が何かを飲み込んだなんて発端はなしでよろしく(^_^;)。でもまあ、そこさえクリア出来れば面白くなりそうではある、と釣り師的個人的には思っているのである。もっとフィッシング場面を増やせとも言っておこう。(2004年7月読了)

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2004.07.02

感想>東直己『熾火』

 更新業務はしばらくこちらの工事中サイトで行うことになります。更新ソフト一式、旧マシンにインストールしてあってアップデートしてないため、FTPソフトが機能不全のままだったり…なかなか触れないのよね~(^_^;)。っ~わけで、こっちの一発目っ!

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題名:熾火
著者:東直己
出版:角川春樹事務所 2004年6月28日第1刷
価格:本体1800円+税
極私的評価:★★★1/2
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 書店買い取りらしく、相変わらずなかなか手に入らない角川春樹事務所本(^_^;)。何とかゲットしたら読み出したら止まらない相変わらずのリーダビリティをきっちり証明してくれました。『便利屋』シリーズよりシリアス系正統派ハードボイルドの流れを汲む面白さでありますが、シリーズ読者以外には登場人物の把握がやや難あり(^_^;)なので敢えてお勧めはしません。が、しかし。姉川女史がああしてこうして…ああ、どうなる!どうなる?で最後まで引っ張る本作品のスリリングさが些細な瑕疵を吹き飛ばす仕上がり。東直己フリークは飯代二食分(1890円也)抜いても書店へ急げ!と言っておこう(^_^;)。

 アルコールに冒された肝細胞とともに灰色の脳細胞もまた、加齢とともに溶け出していくそうな。酔っ払いの八つ当たりのように、物語の肝心な部分部分に埋め込まれたバックグラウンドにある道警の腐敗描写が、どこまで本当で虚実ないまぜのフィクション部分とどの辺で境界線を引いているのか。う~む、作家本人も止めようとも思わないのであろうが、ここまで道警を悪役にするほど、現地札幌他道民の皆様方におかれましては、道警=『悪』を認知されているのでありましょうや。樹郎社サイトの連載もかなりエキセントリックではありますが、冒頭突っ走る道警批判のオンパレードは、東本人が畝原に無理矢理言わせているように思えるのよね(^_^;)。ほぼ同時刊行された『駆けてきた少女』の俺もそうだったなあ。畝原=俺=東直己がさらに限りなく近づいてきた印象。世の中への怒りをストレートに表に出せちゃう作家の幼児性を少々垣間見せて頂いたって感じが、ちょっとなあ…(^_^;)。

 本作品の核心部分でもある『虐待の疵を残す少女』の謎もA・ヴァクスの『バーク』シリーズっぽいノリで、こういう戦慄の展開って、日本の土壌ではかなり無理があると思えるのだけれど、まあ、『俺』より社会派探偵たる畝原が暴き出す真相が、『駆けてきた少女』のある部分とシンクロしていてより立体的に浮かび上がってくる北海道社会の裏構造が底なしの闇を広げているようで、どうにもやりきれない道経済の緩やかな死を見送る挽歌のようでもある。 結末へ導く過程がどうにも行き当たりばったりで、ご都合主義的場面継ぎ部分が今の東直己なのかなと不満半分、本当に書きたかったであろう家族の絆的な部分が感動的でもあり、『俺』よりもストレートに感情を表した『畝原』に託した作者の明日への希望もまた善き哉。などと、つらつら想った東直己最新作読後感でありました。それにつけても、もっとちゃんと本屋に本を置いてくれよな>角川春樹事務所殿(-_-メ)。(2004年6月読了)

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